2018年9月2日日曜日

公共の場の優しい笑い

 私が幼かった頃、多分 次兄とふざけていたのだろうか、新幹線の中で母に注意されたことがあった。
大勢の人が集まる中でふざけてはいけない。あなたたちにとっては楽しい旅かもしれないけれど、悲しい気持ちで乗ってる人もいるはずなのだから、と。
 
 遠くから嫁いだ母にとっては、新幹線は故郷へつないでくれる大切な道。
祖父の訃報、家族の病気。いろいろな思いを背負って通った道中で、母はそんなことを思ったのかもしれない。

 そんな母に注意されたことも忘れて大人になったある日、私は友人の事故死を経験し、早朝の沖縄行きの飛行機にのった。
夏真っ盛りの沖縄便、周りの人たちの気持ちは浮きだっている。
羽田を離陸すると、近くに座るグループから歓声があがった。

 でも私は、重苦しい気持ちとかれることのない涙に目をはらし、友人の事故が掲載されたその日の朝刊を膝の上に置いて泣いていた。
その時に、母の言葉を思い出した。

 いつもね、新幹線に乗ると思うの。一つの車両にこれだけの人が乗ってるでしょ。
悲しい気持ちで乗ってる人もいる。だから騒いではいけないの。
ほんと、その通りだと思った。

 でも、お笑いというのは、そんな哀しみの淵にいる人すらも元気づけてくれる力がある。昨日、この動画をみてそんなことを思った。




 こんな笑い、こんな優しい和やかな空気が機内にあふれていたら、あの日 泣きはらした目をしてた私も、少し気持ちが楽になったのではないだろうか。
ちょっとクスッて笑って、一瞬でも目の前の悲しい現実から目を逸らすことができたのではないかしらと思った。

 お笑いって不思議、ジョークってほんと不思議。
その場の雰囲気、発する人のお人柄、態度によって笑いの質が変わる。
公共の場って、ほんと難しい。この方のことだって目くじらをたてる人がいるかもしれないけど、私は許されることではないかな。。って思う。実際、私はあの日、この方が乗る飛行機に乗りたかったって思うな😊

 でも、それって月日がたったから思うのかな。
あれからもう28年。写真の彼は、こんなおばさん知らないよって言いたげに、今朝も笑ってるけどね。