うわーー。。これを見た方の感想をお聞きしたいぐらい。。。😊https://t.co/V8nvuMnGIB
— 風信子 (@studiohyacinth) 2017年11月11日
巨大スーパーの売り場に物がない。。。これは、私にとってもものすごい経験でした。😅 ちょっと懐かしいな。。。#フジテレビ #アンビリバボー
11月9日 オンエア
市民たちの闘い アメリカのスーパーで起こった奇跡
彼らの要求はただひとつ。 「クビになったスーパーマーケットの“元社長”の復帰。」 それだけのために、一体なぜ、これほど多くの人が動いたのか?

彼には忘れられないエピソードがある。 業者と交渉し、仕入値を10%下げることができた。 これで、会社の儲けが増えると思った。 しかし、社長のアーサー・Tは、商品をさらに10%値下げして販売することを決定してしまった。

だが…お客さんはさらに安くなると喜び、スティーブンにお礼を言って買い物をしていった。 そんなスティーブンにアーサー・Tは「これがウチのやり方なんだ。まずはお客様。その次が商売だ。それを忘れないでくれ。」と言ったという。

すべては、今から100年前、ギリシャ移民だったアーサー・Tの祖父が、この地に小さな食料品店を開店したことが始まりだった。 当時、この地区には貧しい移民が多く、大恐慌もあって誰もが食うや食わずの生活を送っていた。 だが、祖父はどんなに経営が苦しくとも、貧しい人々にはただで食料を配っていた。 商売は二の次、祖父は地域との繋がりを何より大事にした。

だが、店が大きくなろうと、『人を大切にし、人に奉仕する』そんな祖父の精神を二人は忘れる事はなかった。 低所得者層に向けどこよりも安い値段で販売しながら、利益の中から病院や大学に寄付をするなど、地域社会にも貢献。

他の店ではあまり必要とされない『袋詰め係』を配置した。

そしてそんな従業員の多くが、手に職を持たないティーンエイジャーだった頃にマーケット・バスケットに就職。 店と共に一人前の職業人として成長してきた人々だった。



いとこ側は、従業員の給料アップを抑え、人員を整理し、浮いたお金を株主たちへ配ることを要求。 そして、その最大の株主の一人が…いとこ本人だった。

ところが、この要望をいとこ側が聞き入れる事はなく… 従業員たちの願いも虚しく、2014年6月アーサー・Tは解任された。

そこで商品の配送と引き換えにアーサー・Tの復帰を要求する。 考えうる中で最も効果的なストライキだった。

さらに…本当に物流を止めることができるのかという心配もあった。 ストライキを有効なものにする為には、物流センターで働く700名の従業員たちのうち、できるだけ多くの協力が必要だった。

『これからもマーケット・バスケットで働きたいかどうかを決めるのはあなた方それぞれです。もし仕事を放棄するなら、別の人と交代させるしか我々に選択肢はありません』
つまり、ストライキに参加した場合、クビにするという脅しだった。
従業員にとってこの店での仕事は大事な生活の糧、失うわけにはいかない。 果たして何人が賛同してくれるのか? すると…ほとんどの従業員が、ストライキに参加の意思を表明した。 翌日、物流センターのトラックは殆どの荷物を運ばなかった。 ついに、元社長を取り戻す為のかつてないストライキが始まったのだ!

この事態を受け、新経営陣は新たな判断を下す。 物流センター長他、幹部たち8名に解雇通知を出したのだ。 首謀者をクビにすれば、ストライキを終わりにすることができる、との判断からだった。


『一刻も早く職場に復帰してください。今働いている従業員及び復帰した従業員の中から、店長他のポストの募集を開始します。また復帰した従業員には何らペナルティはありません。』
ストライキで出社しない管理職のポストに、他の社員を配属する、という宣言だった。 店舗には僅かだが、運動に参加せず働く者がいた。 新経営陣は彼らのような従業員に出世の道筋を示す事で、ストライキをやめ、出社する社員が増えるのではと考えた。 つまりストライキを行っている従業員の、内部からの切り崩しを図ったのだ。 この通告により、従業員の中には不安を覚える者も出始めた。

そんな中、解雇された幹部やストライキに賛同する従業員は、マーケット・バスケット近くの建物の一角に集まり、ミーティングを重ねていた。 だが、ストライキが長引く中、どうすれば事態を打開できるのか、分からずにいた。

次々に抗議のレシートを貼っていく客たち。 それは、アーサー・Tが戻るまでマーケット・バスケットで、買い物をしないという客たちのボイコット宣言だった。 誰からともなく始まったレシートを貼り付ける運動は、マーケット・バスケットの全店舗に広がり、日を追うごとにレシートは増えていった。 だが一体、なぜ、客達は一斉に立ち上がったのか? そのきっかけの一つと言われているものが、地元新聞に掲載された広告だった。
【マーケット・バスケットの現CEO、取締役会、および株主の皆さんへ】

不買運動をしているのは、あなたの客なのです。
売上をもたらすのは、あなたの客なのです。
企業の命運を握るのは、あなたの客なのです。
アーサー・TがCEOに復帰するまで、マーケット・バスケットで買物をしないと決めたのは、あなたの客なのです。
この広告料を支払ったのは、あなたの客なのです。
あなた方は客をクビにできない、私たちが買物をしないのだ。
広告主は顧客有志たち。
みんなで金を出し合い、掲載したのだ。

100年前、祖父が小さな食料品店に込めた、人を大切にし、人に奉仕する思い…時代を超えて受け継がれたささやかな優しさ、それを忘れなかった人々が結集したのだ! マーケット・バスケットが、そしてアーサー・Tが、象徴する『何か』を失いたくないー。 ただ、それだけの為に、200万人もの住民が立ち上がったのだ!

『本日付でアーサー・T・デモーラスは、最高経営責任者に復帰した』
実は…アーサー・Tは退任後、すぐに資金調達に奔走。 いとこから株を買い取り、経営者に返り咲いたのだ! その額は日本円にして1700億円。 当初、株式の売却を渋っていた、いとこだったが、このままでは街に雇用不安が広がるとして州知事が説得、やむなく同意したのだという。 そう、アーサー・Tは最初から、決して諦めてはいなかったのだ。 そして、アーサー・T復帰決定の報を聞き、すぐにトラックは走り出した。

そして応援してくれた人々の前に立った。
「本当に心からありがとうございます。皆さんは私にとって特別な存在で、またここに戻って来られてとても嬉しいです。マーケット・バスケットの同僚の皆さん、マーケット・バスケットのお客様、マーケット・バスケットの仕事仲間の方々、皆さん一人一人が戦いました。そこにはマーケット・バスケットを守るという事以上の意味がありました。」

マーケット・バスケットのスーパーバイザー、サム・トレイナー氏は、こう話してくれた。
「専門家はみな昔のようにうまくいくはずがない、と言っていました。しかし新店舗も好調で売上も前より良くなっています。価格が地域で一番低いことも、従業員がきちんとボーナスを貰えることも、何も変わっていません。むしろ昔より良くなったと感じるほどです。」

「興味を惹かれたのは、ごく普通の人々が、クビになったとはいえ、裕福なアーサー・Tのために立ち上がったという点です。賃金のアップや労働環境の改善など、自らのためでなく、ただボスを取り戻すために闘った。これまでほとんど聞いたことのないケースだと思います。」

サム・トレイナー氏はこう話してくれた。
「彼はとても謙虚な人です。今回の一件も、大変だったのは現場にいた従業員やお客様で、自分は注目を浴びるような事は何もしていない。そう思っているからこそ、取材を受けなかったんだと思います。アーサー・Tはそんな人です。」